不動産登記の見方

抵当権

不動産登記とは?

不動産登記は、わたしたちの大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか,所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し、これを一般公開することにより、権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし、取引の安全と円滑をはかる役割をはたしています。(出典:法務省HP)

 

賃貸では、宅建士から重要事項説明の際に登記簿についての説明がありますよね。

普段聞き慣れない言葉が多く、説明を聞き流してしまっている方も多いかもしれません。

今回は、登記簿の見方についてご説明していきます。

どうやって取得するの?

大きく4つ方法があります。

 

①法務局へ行って交付請求

②オンラインによる交付請求

③郵送による交付請求

④インターネット(登記情報提供サービス)

 

④は自宅にいてもすぐに情報が取得できるため、便利ですよね。

個人でも利用することができます。

 

④の利用料金と登録費用は下記の通りです。(出典:法務省HP)

 

利用料金

(1) 全部事項 (不動産又は商業・法人の登記記録の全部の情報)
      332円  (登記手数料320円+指定法人手数料12円(消費税及び地方消費税を含む。以下同じ。))

(2) 所有者事項 (不動産の所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所又は事務所のみに関する情報)
      142円  (登記手数料130円+指定法人手数料12円)

(3) 地図,地図に準ずる図面,土地所在図,地積測量図,地役権図面,建物図面及び各階平面図が記録されたファイルに記録されている情報
      362円  (登記手数料350円+指定法人手数料12円)

(4) 登記事項概要ファイルに記録されている情報 (動産譲渡又は債権譲渡)
      142円  (登記手数料130円+指定法人手数料12円)

 

登録費用

(1) 個人が登録する場合 300円 (消費税及び地方消費税を含む。以下同じ。)
(2) 法人が登録する場合 740円
(3) 国又は地方公共団体が登録する場合 560円

登記簿謄本の構成

登記簿謄本

登記簿謄本は、主に4つの項目で構成されています。

 

・表題部

・権利部(甲区)

・権利部(乙区)

・共同担保目録

 

それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。

表題部

表題部は、その不動産の基本情報が記載される欄です。

所在地や面積、構造等が記載されています。

土地か建物かで記載内容は変わってきます。

 

土地の場合

所在、地番、地目、地積、登記の日付

 

建物の場合

所在、家屋番号、種類、構造、床面積、登記の日付

 

 

権利部(甲区)

所有権に関する内容が記載されています。

不動産の現在の所有者や過去の所有者がわかります。

登記の目的も書かれているため、所有者がその不動産を相続で取得したのか、売買で取得したのか等読み取ることができます。

 

権利部(甲区)

順位番号、登記の目的、受付年月日・受付番号、権利者その他の事項

 

 

権利部(乙区)

所有権以外の権利に関する内容が記載されています。

代表的なものは、抵当権です。

抵当権については、この後説明します。

 

権利部(乙区)

順位番号、登記の目的、受付年月日・受付番号、権利者その他の事項、原因、債務額、

利息、損害金、債務者、抵当権者、共同担保

共同担保目録

抵当権を設定したときに担保として提供された不動産が複数ある場合に、それらをまとめて記載する欄です。

 

共同担保目録

記号及び番号、番号、担保の目的である権利の表示、順位番号

抵当権とは

抵当権とは

担保となっているものを債務者のもとに残しておきながら、債務が弁済されないときにはその物から債権者が優先的に弁済を受けることを内容とする担保物権。不動産・地上権・永小作権のほか、船舶・自動車や特殊な財団などについて認められる。

(出典:weblio辞書)

 

基本的に建物を建てるときは、大家さんは金融機関等からお金を借りて建てます。

金融機関はお金を貸す代わりに、建物や土地などに抵当権を設定します。

抵当権を設定すると、大家さんの借金返済が滞った時に申し立てをして、物件を競売にかけることができます。

ということは、追い出されてしまう可能性があるということでしょうか…?

 

 

抵当権が設定されている物件を借りても大丈夫?

抵当権がはじめから設定されている物件を借りると、

結論から申し上げますと、追い出される可能性があります。

 

大家さんの借金返済が滞る

抵当権の実行

物件が競売にかけられる

競売によって物件を買い受けた人が新所有者となり、従前の賃貸借契約が消滅

新たな所有者が何らかの理由により、賃貸借契約を結ばない

物件を明渡さなければならない

 

上記のような流れになることもあります。

物件の明渡しを拒むことはできるのかどうかですが、抵当権設定の順番によります。

 

物件を借りるときに既に抵当権が設定されていた場合

物件を借りるときに抵当権の存在を含んだ重要事項の説明を宅建士から受けていた場合、

抵当権について納得した上で物件を借りていることになるため、追い出しには従わなければなりません。

 

物件を借りた後に抵当権が設定された場合

抵当権設定について、了承して物件を借りたわけではないため、追い出しは成立しません。

 

任意売却の場合も追い出しは成立しません。

 

 

追い出しになってしまった場合は?

6ヶ月間の猶予の間に退去しなければなりません。

また、預けている敷金や保証金は、新しい貸主に返還請求ができないため注意が必要です。

そして新しい貸主へ再度敷金や保証金を預けなければなりません。

 

抵当権のついていない物件を借りた方がよいの?

抵当権の設定されていない物件があるならば、もちろんその方が安心して借りることはできます。

しかし、借金無で建物を購入したり建てる貸主は少数で、物件がかなり限られてしまいます。