建物構造のはなし

コラム14-1

●そもそも構造ってなに?

建物を支える骨組みのことを『構造』、骨組みを造る方法を『工法』といいます。

構造は、建物を支え、一度造ると簡単に変えることができない、建物の部位の中で最も重要な部分です。

どのような建物構造があるのか、代表例をいくつかピックアップしてみました。

●建物構造にはどのような種類があるの?

・W造(Wood)……木造
・S造(Steel)…… 鉄骨造
・RC造(Reinforced Concrete)…… 鉄筋コンクリート造
・SRC造(Steel Reinforced Concrete)…… 鉄筋鉄骨コンクリート造

RC造やSRC造などのアルファベットは、建物を構造する材料・材質を表しています。

それでは、それぞれどのような特色やメリット・デメリットを持つのか確認していきましょう。

●木造(W造)

木造とは主要部分を「木材」で作った構造のことで、日本の戸建てやアパートで最もよく用いられています。木は、室内の空気が乾燥すると、蓄えられていた水分を空気中に放出し湿度を保つ効果があります。梅雨のように湿気が高くなると空気中の水分を吸収するため、窓の結露やカビを防ぐことができ、湿気が多い日本の気候に適しています。

コラム14-4

木造物件は通気性にすぐれている反面、遮音性は全構造中もっとも低いのが残念なところ。部屋同士の仕切りの壁が薄いケースも多く生活音が響きやすいのがデメリットです。
冷暖房が効きにくいのも木造物件に住む際、不満を持ちやすいポイントの一つです。木造物件は鉄骨物件にくらべ気密性が低いため、鉄骨に比べ冷暖房の効きが悪くなってしまいます。

●鉄骨造(S造)

柱や梁などの骨組みに鉄骨を使用した構造のことで、その鉄骨の厚さにより、さらに2種類に分類されます。

「鉄骨の厚みが6mm未満」のものを軽量鉄骨造といい、アパートや小型店舗など小さめの建物に用いられます。「鉄骨の厚みが6mm以上」あるものは重量鉄骨造といい、戸数が多い大型マンションやビルに用いられます。

柱などに鉄骨を使用するため、木造よりも強度があり、壁・床などを厚くできるので、防音性も高まります。鉄骨部分以外は木造と同じ素材のため、建設コストが低く、その分家賃も低めに設定されることが多い傾向にあります。

●鉄筋コンクリート造(RC造)

コラム14-2

鉄筋コンクリート造とは、鉄筋とコンクリートを組み合わせた素材で、鉄筋を組んだ枠の中にコンクリートを流し込んで固めたもののことをいいます。

 

・鉄筋…引張力(引っ張る力)には強いが、熱に弱く錆びやすい

・コンクリート…熱に強いが、引張力(引っ張る力)に弱い

 

鉄筋とコンクリート、両者の短所をうまく補いあうことによって、様々なメリットを生み出しています。

ただし、鉄筋・コンクリートとも材料費が高く、コンクリートを固める手間がかかるため、家賃が高く設定される傾向があります。

主材料のコンクリートは不燃材料のため、非常に高い耐火性を備えます。コンクリートを流し込んでつくる特性上、形状の自由度が高く、デザインのバリエーションにも富むこともメリットの一つです。

 

●鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

鉄骨鉄筋コンクリート造とは、鉄筋を組んだ枠の中にコンクリートを流し込んで固めたものを、更にコンクリートで補強した構造で、タワーマンションやオフィスビルなどに用いられます。あらゆる構造の中で最も耐震性、耐火性に優れるのはSRC造です。

熱に弱い鉄骨をコンクリートで包み、さらに揺れに弱いコンクリートを鉄筋で補強することにより、非常に高い防音性・耐震性・耐火性・耐久性を持ちます。

建物構造の中で1番建設コストが高いうえ、性能がかなり優れている構造なので、家賃が高めに設定されています。

また、コンクリートの性質上、通気性が悪いため夏は暑く、冬は寒くなります。調湿機能を持つ木造と比較すると、結露やカビも発生しやすいというデメリットもあります。

■まとめ

メリットを◎、デメリットを×で表にまとめてみると下記のようになります。

表3

●家賃を抑えたいけど防音性を気にするなら「鉄骨造」

家賃を抑えたいけど、木造より防音性が高いお部屋に住みたいという方は「鉄骨造」のお部屋がおすすめです。

一度寝てしまえば朝まで起きない、自分もテレビを見るから周辺の生活音が気にならないという方に適しています。壁の素材は木造と同じなので、防音性が高いとはいえませんが、テレビの音や話声などの高い音は軽減されます。

 

防音・耐震・耐火性を気にするなら「RC造」

防音・耐震・耐火性を気にするなら、鉄骨造よりかなり頑丈な「RC造」がおすすめです。

コンクリートは音を遮断するので、防音性に優れています。

ただし、音を通しにくい分通気性が悪いので、室内に熱がこもりやすく夏は暑いです。SRC造より家賃を抑えたいけど、エアコンの電気代くらいなら気にしないという方に向いています。

 

●お金に余裕があって性能を重視するなら「SRC造」

防音性・耐震性・耐火性などの性能を重視したハイグレードなお部屋に住みたいなら「SRC造」がおすすめです。

SRC造は、RC造をさらに強化した建物のため、家賃が高く設定されていますが、その分、性能が充実しています。

 

とくに、防音性は建物構造の中でも群を抜いて優れています。周辺住民の生活音は、ほとんど聞こえませんので、音に敏感な人でも静かに暮らせます。

コラム14-5

それぞれの構造に一長一短がありますので、今後物件を選ぶ際には、

外観や室内の様子だけではなく、建物構造についてもぜひ目を向けてみてください。

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